グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

先入見なしでルールを適応する意思について

つい先ほど、ある元総務省キャリアの方が書いたブログを読んだのだが、個人的に行政官というのはこういう人がやっているんだなあ、という事がものすごくリアルに伝わってくるエントリーだった。

そのエントリーの内容を大雑把にまとめると、

そのブロガーさんはかつて、とある地方都市(具体的には岩手県盛岡市)に赴任していたことがあったという。盛岡というのは日本酒の名所らしくて、そのブロガーさんは赴任後初めて東京に帰る際、日本酒を手土産にすることにした。

そこで駅にある酒屋で日本酒を買い、カードで会計をしようとすると「手数料8%を払わないといけないのが迷惑なので現金で支払ってほしい」と強要された。手持ちの現金がなかったためにカードで支払う旨を告げると、渋々と手続きをする様子だった。

非常識な対応を不思議に思い、たまたま店主が不機嫌だったせいなのかと思ったが、何度カードを利用してみても結果は同じで、ついに嫌気がさして日本酒はイオンで買う事にした。このようにして顧客を一人イオンに奪われる結果になったのである。カード手数料を支払うのが嫌だと言うならカードを取り扱うべきではない。

・・という内容だった。

僕は最初、このエントリーを読んでかなり違和感を感じた。というのは、僕がまず初めにエントリーを読んで驚いたのは8%という、とんでもなく高額な決済手数料だったからだった。もちろんカード会社というのはカネを貸してビジネスをしているわけだから、ある程度の手数料を取る事は不思議ではないが、しかし単に決済をするだけでなんで8%もカード会社に支払わないといけないのか?クレジットカード業界が結構腐敗している業界だとは知っていたが、やはりクレジットカードというのは間違った仕組みなのではないか、と思ったのだ(ちなみに、大手だとこの決済手数料は交渉して下げる事ができるらしい。コメントくれた方に感謝)。

しかし、その一方で「カード可にしているのにカードの利用を拒否するのはとんでもない」というのは誠にもっともなことである。そして最初は読み落としていたけれども、エントリーをもう一度読むと、「単価拡大・顧客増大のためにカード可にしているならばカード利用客を拒否すべきではない」というように、とんでもない理由もちゃんと書いてあるのだ。調べてみて分かったのだが、小売店が安くはない手数料を支払ってカード会社の加盟店になるのは

  • カード利用客は金離れがいい
  • 海外旅行者が両替することなく決済できて便利
  • 手持ちの現金がなくて高額な買い物ができる(先ほどの例では、手持ちの現金が3000円しかなくてもカード限度額いっぱい日本酒が買える)

などのメリットがあるからなのである。僕はカード会社の高額な決済手数料がどうして成り立っているか今まで知らなかったけど、これで始めて理解できた。

総務省キャリアの方が書いたエントリーを見て強く感じたのは、「先入見なしでルールを適応する意思」である。僕のような一般人はどうしても議論が感情ドリブンになりがちになる。カードの話題でいうと、「8%の決済手数料というのはボッタクリなのではないか」とか、「8%も手数料を店に負担させるなんてかわいそう」とか、そういう事である。もちろん、「先入見なしでルールを適応する意思」も感情に基づくものだろうけれども、行政官と平均的な一般人とでは思考回路がずいぶん違うんだろうな、と思った。

参考

岩手県盛岡駅唯一の酒屋ではクレジットカード払いを拒否される - 3年でエリート公務員辞めた結果…