グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

大麻はがんに効くらしい

少し前の話になるが、高樹沙耶という元女優が大麻所持の疑いで逮捕されたことがあった。

高樹沙耶という人は3.11を機会に芸能の世界を離れて沖縄に移住しペンションを始めた、という、要するにそういう系統の人なわけだけれども、大麻解禁を訴えて今は消滅した新党改革から参院選に立候補した事がある。高樹沙耶という人が芸能の世界でどれくらいの地位にあったのかは知らないけれども、参院選に立候補するくらいなんだから裾野が広い芸能の世界では非常に成功した人なのだろう。実際にネットを見てみると出演作品が何十作品もあって、それなりに実力がある女優だったんだろうな、という印象だ。

大麻解禁と新党改革というとなんかいまいちイメージが良く分からない組み合わせだが、おそらく原発反対ということで、脱原発派だった福島出身の荒井広幸氏と交流があったんだろうと思う。大麻に代表されるように、自然とともに生きる日本古来の生き方を取り戻そう!みたいなアミニズム的なナショナリズムには荒井氏と共通する所があったのかもしれない。

それで選挙になったら大麻解禁を文字通り大声で(つまり拡声器を使って)公言しながら選挙活動をしていたというのだから、当局の注目を集めたのは当然といえば当然の成り行きと言える。

考えてみたら大麻解禁を訴えながら自分は大麻をやってないというのでは筋が通らないと思うけど、それにしても大麻をやりながら参議院議員に立候補してしまうなんて、当選の確率がほとんどゼロとはいえかなり大胆な話ではある。

大麻の薬効

当然この話は「情報番組」などで大きく取り上げられたようだが(僕は見ていないけど)、ネットによるとそこで芸能系の医者が出演して「医療大麻なんていうものはないんです」というような事を言っていたんだという。

僕はこれを読んで少し不思議に思った。というのは大麻に様々な薬効があるというのは医学的にも証明されているからだ。ただなんとなく効くとか、場合によっては販売されている医薬品の代わりに使えるという話ではない。大麻しか効果的な治療法が知られていない難病というのがあるのだ。以前BBCで医療用大麻を特集した番組を見たことがあるが、大麻を吸ったら症状が緩和されて本当に楽になるらしい。アメリカなどでまず医療目的で大麻が解禁になったのもこれが原因なのである。

大麻が有効なのではないかと言われている疾患はこんなものまで効くの!?とびっくりするほど広い。少し例を出すだけでも、大麻アスペ・鬱・躁鬱・統合失調症・癌全般・各種悪性腫瘍・デブ・突発性大うつ病・反復性大うつ病(なんだかすごいな)・ジストニア・アル中・シャブ中・悪夢(!)・過食・拒食・片頭痛認知症・喘息・クローン病・耳鳴り・便秘・膵臓炎・リュウマチ・ハゲ・腱鞘炎(プログラマーには結構重要な話だ)・てんかん・・などに効果があるのではないかとされていて、他にも治療法が全然なさそうな難病が多数含まれている。ほとんど夢の万能薬状態である。しかも、これは今に至るまで報告があったものだけなのだ。

医療大麻 - Wikipedia

まあ、どの疾患にどの程度効くのかわからないので大麻さえあれば万病が解決する、というほど甘いものではないだろうが、しかし大麻は相当に効きそうだという事で研究が進んでいるようである。効果があるものの背景には科学的な理由があるわけで、大麻の成分の研究は今後急速に進んでいくだろう。

 

 がん治療と大麻

大麻の有効性についての指摘の中で重要なものの一つはがんの治療に関するものである。

2015年の12月、東京で末期がんの患者ががんを治すために大麻を栽培して逮捕されるという事件があった。

rocketnews24.com

これは末期がんの患者が大麻はがんに効くらしい、という事で大麻を栽培して服用した結果、本当に劇的に体調がよくなってしまった、という話である。実際に病院にいって検査を受けた所、腫瘍マーカーの値が大幅に下がっている事がわかり医者も驚いたほどだったという。しかし逮捕されては大麻が使えないので、大麻を使う事を認めるように裁判を起こしたという事らしい。

──まず、山本医療大麻裁判について簡単に教えて下さい。

 

ボブ「超簡単に説明すっと、医師から「余命は最大1年」で「打つ手はない」と死の宣告をされた末期の肝臓がん患者・山本正光さん(58)が、生き延びるためにいろいろ調べてたら “がんには大麻が効果的” という情報を得た。医療大麻な。

 

ところが日本で大麻は所持すら違法。そこで山本さんは、厚生労働省農林水産省法務省などに大麻の医療使用について相談したが、「日本で大麻は禁止だからムリよ」みたいな説明をされちまった。まあ、当然つったら当然だわな」

 

──アメリカなどでは大麻の医療用使用が盛んですが、悲しいことに日本では……

 

ボブ「ウン、まだ日本では認められてない。だけど山本さんは諦めなかった。なんと製薬会社にも “自分の体を医療用大麻臨床試験に使ってほしい” と相談したんだが、当然ながら答えはNO。違法だからな。となると、残された道は……」

 

──もしかして、インドのバラナシ(ワーラーナシー)のプッシャーに……

 

ボブ「ちげえよ! それは俺だろ!! 山本さんは買うんじゃなくて、自宅で大麻を栽培したのよ。グロウ(自家栽培)ってやつだな。で、自ら育てた大麻を使用していたら、痛みも和らぎ、食欲も復活、気分も晴れやか! やがて元気になった!!」

 

─自分で育てた大麻を吸えるなんて……ぃ……

 

ボブ「な、いいよな……。んで、なんと山本さんが元気になったのは気のせいでもなんでもなく、きちんと病院で診てもらったら、がん診断の基準値である “腫瘍マーカー” の数値が劇的に下がり、お医者さんもビックリ仰天したらしい」

 

──マジのマジで効いちゃった!

 

ボブ「ところがどっこい! 体調良好で生きる希望が沸いてきた2015年12月、あろうことか東京の路上で職質を受け、大麻所持の疑いで逮捕されちまったんだ。なんで持ち歩いていたんだよ山本さん!って俺は思うけど、グロウしてたからマークされていたのかもな」

しかし公判中に病状は悪化し、結局逮捕された7か月後に亡くなったらしい。警察にも法医学をやる医者がいるのだから、がん研と話をつけるなりなんとかならなかったのか?

大麻を所持したとして大麻取締法違反(所持)罪で起訴され、「がん治療目的の使用だった。生存権の行使だ」として無罪を主張していた末期がん患者の元シェフ、山本正光被告(58)が25日、肝臓がんのため死去した。関係者によると、容体が急変したという。被告の死亡により、公訴は棄却される。次回は8月に論告求刑公判が開かれる予定だった。

山本氏の公判をめぐっては、産経ニュースが今年4月、「末期がん患者が最後にすがった大麻は違法か? 劇的改善の被告が『命守るため』と無罪主張 司法の判断は…」と題した記事を掲載。「医療用大麻」解禁の世界的風潮や日本での現状などを報じた。インターネット上で大きな議論を呼んだほか、傍聴者の増加で法廷も広い法廷へと変更されるなど注目された。

7月12日に東京地裁で行われた被告人質問に車いすで入廷した山本氏は「がん患者の気持ちはがん患者にしか分からない。最初は『治るだろう』と思う。しかし治らず、徐々に絶望感と焦燥感に襲われる」「ネットで大麻ががんに効く可能性を知ったが、入手ルートもなく、お金もそれまでの治療で使い切っていたので、自分で種を手に入れて栽培した。使用したら痛みが緩和し、食事を口から取れるようになり、がんマーカーの数値が下がった。抗がん剤を使うと自殺したい気持ちになっていたが、それもなくなった」などと述べた。

その上で「現実に苦しみ、何とか生きようとしている人の希望を、誰がどんな権利で奪えるのか。いい治療法があれば大麻は捨てるが、私にはなかった。患者の選択肢の一つとして医療用大麻を使えるようにしてほしい」などと訴えた。

山本氏は公判で「他のがん患者のためにも、判決を見届けるまで死ねない」と述べていたが、かなわなかった。

www.sankei.com

山本氏は大麻をやるまで抗がん剤治療をしていたらしいのだが、抗がん剤というのは本当に効かないらしい。もちろん抗がん剤が有効というデータはあるのだろうが、個人的には抗がん剤というものは4年11か月で死ぬところを5年2か月で死ぬようにする程度のものだと思っている。5年生存率が向上しても、これだと実質的な意味はそれほどない。抗がん剤の副作用は激烈である。はっきりいって苦痛と効果を比べると全然わりに合わない。中には抗がん剤が有効なケースがあるのかもしれないが、生存率が2%上がれば100万人治療を受けた場合2万人救われるのだ、みたいなことを言われても正直、なんだかなあと思う。

闘病記などを読めばわかるけれども、がんの治療というのは大変である。まずがんの手術が痛い。外科手術の後で麻酔が切れた時が痛いのである。内臓を切って縫い合わせるわけだからこれは切腹するようなもので痛いのは当然なのだけれども、とにかくとんでもなく痛いらしい。その上抗がん剤の副作用とも戦わないといけないわけだが、手術の激痛と抗がん剤の副作用をがまんしても結果はあまりよくない事が多い。がんが見つかって1年くらいで普通に亡くなったりする。なにもやらないほうがマシだったのでは?と思ってしまう。

がんの治療というのは、本当に効果があるのか無いのかはっきりしないものがものすごい多い。医学の世界というのはいかにも絶対的な科学的な証拠をもとにして成り立っているような印象があるが、実績やビジネスのために都合のいい議論やデータを採用し、都合の悪いものは無視するなどは日常茶飯事、という世界である。だから後になって、実は標準的につかわれていた治療法や薬が全然意味のないものだった、という事が分かる事は珍しいことでもなんでもない。

これがもし、外科手術も抗がん剤も必要なく、素人が自宅で栽培した大麻を吸えばがんが治るならば素晴らしい。なにせ痛みもなければ副作用もなく、ただボーっとしてればいいだけなのだから。

これまで、がんにかかった人は「がんと闘う(医者のいうように標準治療を受ける)」か「がんと闘わない」か2つの選択肢しかなかった。どちらにしろ、本当に自分の選択肢は正しいのか?という絶え間ない不安と闘うことになる。大麻による治療法は第三の選択肢を患者に提供するものだと言えるだろう。大麻によるがん治療というのは、がんと戦っているとも、戦っていないとも言えない状態である。つまり受動的にがんに対処する事ができるのだ。これは高齢のがん患者にとっては特に重要だ。大麻でもやりながらボヘーっと余生を送ったほうがいいに決まっているのだ。

最近、高齢化にともない医療費が爆発的に増加している事が問題になっている。そしてその医療費のかなりの部分ががん治療に投入されている。なにせ、すべての年齢におけるガンによる死亡割合は3割で、65歳以降では半数ががんでなくなっているのだ。どれほどの金額ががん治療に投入されているのか、このことだけでも理解できるというものである。これらのコストに比べると、大麻のコストなどはタダに等しい。大麻によって医療コストを大幅に削減できることは明らかである。この点から見ても、僕は医療大麻は合法化されると考えている。がんにかぎらず、面倒な難病はとりあえず大麻でもやっててください、という風になっていくと思う。まあ大麻の有効成分が入った薬剤が開発されるというつまらない結果になるだろうけれども、とにかくなんらかの形で大麻は医療行政の枠組みに入ってくるのではないか。

大麻ががんに効く、という話を聞いて、僕は医者のゴミコメンテーターが「医療大麻」なんてものはありません、と断言したことの背景が分かった気がする。医者というのは分かんない事でも断言するような人が少なくないから、たぶん大麻の薬理作用を知らなかっただけだと思うけれども、しかしもし本当のことを知っていたとしてもテレビ的にはなおさら言えなかったことだろう。抗がん剤というのはものすごい高いものが多い。人間というのは3割がガンで死ぬわけで、国の医療費のかなりの部分が抗がん剤の売り上げとして製薬会社に流れ込んでくるのだ。もし何十万もする抗がん剤よりも素人が栽培した草のほうが効果があるという事になったら問題だし、腫瘍内科医の価値が高樹沙耶と同じになってしまうようでは困るのである。

電子出版した本

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

 多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。

 世間は英語英語と煽りまくりですけれども、じゃあ具体的に英語をどうするのか?というと情報がぜんぜんないんですよね。なんだかやたら非効率だったり、全然意味のない精神論が多いです。この本には僕が英語を勉強した時の方法が全部書いてあります。この本の情報だけで、読む・書く・聞く・話すは一通り出来るようになると思います。