グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

3,000語でどこまで英語が話せるか

きのう次のような記事を書いたのだが、実はこれも現実的には正しいはずだけれども細かい所は相当に不正確というか、大雑把な議論をしているのでもう少し詳しく説明をしようと思う。

globalizer-ja.hatenablog.com

「3,000語で英語しゃべれるの?」といっておいてなんだが、本当のことを言うとある意味、英語というのは英単語を3,000語知っていればほとんどの事を話す事ができる。

3,000語といっても多いか少ないかわからないし、まあせいぜい言葉の表現の膨大さを考えるとずいぶん少ないかな、と思うくらいだと思うが、3,000語というのは相当に多い。

僕が前回の記事を書いたときにまず考えたのは今の時点で2,136字ある常用漢字のことだった。

常用漢字一覧 - Wikipedia

常用漢字というのはつまり日本人が日常的に使っている漢字の事だから、上の一覧表を見ても分かるように相当に難しい字も入っている。

曖昧の「曖」、語彙の「彙」、謁見の「謁」、才媛の「媛」、諧謔の「謔」など平均的な日本人はまず書けないだろうし、漢字一文字を取り出してみたら何の事か分からないような漢字までこの2,136文字の中に入っているのだ。

つまり日本語というのはすべて、漢字2,136字に平仮名50字を合わせた2,186文字で表すことができるのである。

もちろん日本語の単語はこの2,136文字から2,3文字を取って組み合わせる場合が多いから、日本語を使うのに必要な語彙は2,136を大幅に上回るが、それでも2,136語を知っているだけで相当な事が表現できそうだという感じはする。

だから、漢字でいうと「彙」とか「謔」のような文字を考えても2,136文字にしかならない事を考えると、英単語で3,000語というのは決して少ない語彙数ではない。

実際、オックスフォード学習英英辞典(OALD)の定義は'The Oxford 3000'という3,000語ほどの基本的な英単語で記述されている。

【DVD-ROM付】オックスフォード現代英英辞典 第9版

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なので、ある意味英語というのは3,000語あればほとんどの事を表現できるし、実際に英語を使う上で絶対に必要不可欠だと思う語彙をいくつか考えて'The Oxford 3000'のリストを見てみると、大抵のものは載っている。

http://www.oxfordlearnersdictionaries.com/wordlist/english/oxford3000/

一方、3,000語に載ってない単語は3,000語にある語彙を使って言い換える事ができる。

例えば、OALDでprovokeという語を引くと次のような定義がある。

to cause a particular reaction or have a particular effect(何らかの反応を引き起こすこと、または何らかの効果を及ぼすこと)

http://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/provoke

だから、provoke a violent protest(暴力的な抗議行動を引き起こす)という代わりにcause a violent protestと言っても意味は通じる。

provokeよりcauseのほうが使用範囲が広いから、causeを使ってもいいわけである。

 

それじゃあ、英語を話すにはcauseのように基本的な3,000語程度の単語の使い方を勉強するだけでいいじゃないか、と思うかもしれない。

実際に英語教師は年がら年中そんな事ばかり言っているわけだが、しかしこれは実際にはうまくいかない。

問題は、こういう基本的な単語を使って英語を話すにはそれなりの英語力が必要になるという事だ。

 

たとえば「無口である」という意味のreticentという単語がある。

もちろん、「無口である」という事はreticentという単語を使わなくても言い表せる。

「彼は無口である」といいたいならば'He does not talk a lot'とでも言えばいいだろう。

しかし「彼は多く話さない」という英語的な表現は英語初心者にはすぐには浮かばない。

talkとかlotという単語を知っていても表現が思い浮かばなければどうしようもない。

ところがreticentという言葉を知っていた場合、「彼は無口である」と言いたい場合は「ヒー・イズ・レティセント!」と言えばいい。

日本人にとって「彼は無口である」といいたい場合、reticentという単語を使った方が基本的な単語を使うよりも圧倒的に簡単なのである。

基本的に、高級な語彙は使うのが簡単である。

たとえば「イベントは無期限延期になった」と言いたい場合、日本人にとって一番簡単な言い方は'The event is postponed indefinitely'であるだろう。

ここでpostpone(延期する)とindefinitely(無期限に)という単語を知らないと、同じことを言うのは相当難しくなる。

'The event is cancelled and we do not know when it will take place'とでも言えばいいだろうが、どう考えても「イベント・ポストポーン・インディフィネイトリー!」と単語を並べる方が英語初心者にとっては現実的だ。

高級な語彙が表す内容を基本的な単語を使って言い表すのは、高級な語彙を覚えるのとは比べものにならないほど難しい。

英単語というのは簡単に覚える事が出来るが、基本的な単語の使い方を覚えるというのはとりとめがなく、単語を覚えるよりもはるかに困難な作業である。

だから「3,000語で英語を話すなんて無理」という主張は、ウソのようでウソではない。

もちろん、アメリカの貧困地区に住んでいる高校中退みたいな感じの人々は3,000語の世界に住んでいるのだろうが、日本人が同じ事をしようとしても仕様がない。

会話力の欠如は語彙を増やすことで補うほうが、特に英語初心者の場合はどう考えても現実的だと思う。

電子出版した本

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。

世間は英語英語と煽りまくりですけれども、じゃあ具体的に英語をどうするのか?というと情報がぜんぜんないんですよね。なんだかやたら非効率だったり、全然意味のない精神論が多いです。この本には僕が英語を勉強した時の方法が全部書いてあります。この本の情報だけで、読む・書く・聞く・話すは一通り出来るようになると思います。