アメリカでの東アジア人に対する反感
どうもアメリカで東アジア人に対する反感が高まってきているらしい。
東アジア人にはもううんざり、なんとかしてアメリカから叩き出せないものだろうか、というような事を考えているアメリカ人が増えてきているのだという。
僕はこれは単なる排外主義だといって片づけられない問題があると思う。
アメリカとかアングロサクソン文明というのは、基本的に助け合いというものを非常に大事にする文明だという話をよく聞く。
困った人がいたら助けるのが当たり前、という文化が浸透している。
実際、アメリカに行った人の話にはアメリカ人がすごい親切でいろいろと助けてもらったという話が沢山出てくる。
どのような人間であっても最低限の助けを求める権利があるというのがアングロサクソン文化の考え方で、それが何があってもなんとかなるだろうと考えるアメリカ人や英国人のアイデンティティーの一部になっている。
だからコミュニティーの力も強い。
たとえばアメリカでは、選挙になると共和党支持者と民主党支持者がそれぞれホームパーティーを開いて地域の人を招いて、政治について議論をする。
自分の生活に直接的には関係ない政治の話をホームパーティーを開いてするというのはなかなかできない事ではないだろうか。
もしかしたら多少の利害関係もあるのかもしれないが、大統領選挙の度にそういう話をテレビで見ると、アメリカの助け合いの精神というのは本当に強いんだなあ、と思わずにはいられない。
ところが、東アジアではどうだろうか?
東アジアの社会を見ると、助け合いの精神というのはあまり見られない。
困った人がいたら自己責任、そんな連中に関わり合いになりたくないし、そんな連中のためにカネをびた一文使いたくない、というのが東アジア人の考えかたなのではないだろうか。
それは何か失敗をした人に対してもそうで、失敗をしたのは悪い事をしたのが原因なんだから社会から罰を与えないといけない、と考えるのが東アジア人の考え方である。
失敗した人には助けが必要なのだと考えて、実際に自分がコストを負担する覚悟を持っているアメリカ人とは全く正反対だ。
そういう東アジア人がアメリカに移り住んだらどうなるだろうか。
少し前の話になるが、エイミー・チュアという中国系アメリカ人が書いた「タイガー・マザー」という本が話題になった。
エイミー・チュアは法律の世界では全米ナンバーワンらしいイェール大学ロースクールで教授をしているのだが、これは自身の子育ての方法を書き記した本である。
それによると、エイミー・チュアは子供に対して
・友人宅の”お泊り”に参加すること
・友達を呼んで遊ぶこと
・学芸会に出演すること
・学芸会に出演しないことに関して不平を言うこと
・テレビ鑑賞やコンピュータ・ゲーム
・自分で課外活動を選ぶこと
・A未満の成績を取ること
・体育と演劇以外の全教科で1番にならないこと
・ピアノとバイオリン以外の楽器を弾くこと
・ピアノやバイオリンを弾かないこと
を禁止するなど(法律家的なキチガイさが伝わってくるようなリストだが)ものすごい教育の仕方をしたという事で、その苛烈な教育は全米で大きな話題を呼んだ。
世間の予想に反して、このように教育された2人の娘は社会的に成功しながらハッピーに暮らしていて、母親との関係も良好だというから、エイミー・チュアもそれなりに娘が人間的にもまともに成長するよう配慮をしていたのだろうが、どうも自分の成功ばかりを優先している印象は否めない。
他の親からすれば、自分たちの子供を色々な社会活動に参加させている間に勉強だけ猛烈にしているような東アジア系の子供がどんどん有名大学に入っていくのは納得できないだろうし、子供にこんな教育をするような人間がイェールの教授になっていいのかと思うだろう。
白人のアメリカ人は、東アジア人を寛容な社会の恩恵を受けながらおいしい所ばかりを取っていく一種のフリーライダーとみなしているのではないだろうか。
もし東アジア人が白人のアメリカ人から受けた親切に対して何もせず、自分と身内の成功にしか関心を持たなかったとしたら、東アジア系の人間を排斥しようという動きが出てくるのは避けられない。
東アジア人のせいで社会が無茶苦茶になったと怒っている白人系アメリカ人は少なくない。
アメリカの排外主義を批判する前に、東アジア人がアメリカ社会に悪い影響をあたえていないかどうか考える必要があると思う。
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