グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

子供の「国語力」の低下はどこまで適応か?

今の子供の読解力というのは世間が考えている以上に低いという話を読んだ。

なんでも、中学3年生の6人に一人が文章の主語もわからず、半分の生徒が推論とはなんなのか、つまり文章が示す論理関係を理解していない事が分かったという。

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まずこのような記事を読む上で注意すべきなのは、いったいこのような傾向が最近始まったものなのか、それとも元々日本人の読解力というのはこの程度だったものが今になって発見されたのか、という事だ。

本などを読まない人は全く読まない、というのは昔から変わりがないし、テレビの字幕やゲーム、スマートフォンなどの影響で子供が読む活字の量は逆に増えているかもしれないので個人的には子供の読解力がそれほど変わるとはどうも信じられない。

昔から主語が分からないレベルで読解力が低い日本人というのはたくさんいたと思う。

問題はそのような日本人が増加しているのかどうか、ということで、この調査だけではこの肝心なところが分からない。

しかし、もし日本の子供の読解力が低下傾向にあるとすると、僕はそれがある種の適応の結果なのかとても興味がある。

 

僕が思うに、みんな揃って読解力は大切だ、みたいな事を言っているけれども世間は読解力など全然求めていないと思うのだ。

たとえば、ビジネスの世界ではいつも「元気の良いバカ」が称賛される。

読解力があっても行動力がない人よりも、読解力ゼロで行動力がある人間のほうがカネを稼げるのは当たり前の話だ。

はっきりいって読解力と、カネを稼ぐ力=「立派な社会人」として生きていく力との間に直接的な関係は何もないと思う。

それどころか、もし読解力と考える力がイコールだとしたら読解力などなければないほど有利かもしれない。

考えれば考えるほど人は立ちすくむ。

というか難しい事を考えたところで立ちすくむだけ、というのが現実だろう。

それならば考える時間を少なくして結果を出していったほうがいいし、社会もそういう人を評価する。

僕は基本的に昔の子供が今の子供よりも読解力があった、とは思わないが、しかし子供が社会に適応した結果読解力が低下する事はあり得ると思う。

 

僕は文章を正確に読めるかどうか、という事と論理的な判断能力の有無には何の関係もないと思っている。

そして文章を正確に読めなくても社会生活を送る上で何の問題もない。

たとえば、上の記事では子供の国語力が低いと免許証の習得にも支障をきたす(ので低学歴層の就労に差し支える)というような事が書いてある。

しかし運転免許の試験こそ、読解力も論理的判断も思考能力もまったく関係のない、完全に丸暗記だけのパターンマッチを要求するような試験ではないか。

繰り返すが読解力がない人間など昔からいくらでもいた。

しかし、そのような読解力がない人間が読解力がないから困ったという話を僕は聞いた事がない。

「立派な社会人」をするのに読解力など必要ないのだ。

 

人間の言語能力の総量は今も昔も変わりがない。

という事は、もし子供の読解力が低下しているならば子供の他の言語能力は向上しているはずである。

人間の能力というのは必要がなければ退化するし、必要があれば進歩する。

例えばスマートフォンで毎日LINEをしている子供はスマートフォンを使っていない子供よりも文章を素早く書く力が向上しているかもしれない。

読解力というのは言語能力のほんの一部分にすぎない。

しかしテストでは読解力しか計測することができないので子供の言語能力がどのように変化しているか分からない。

読解力の低下というのは言語能力の退化ではなく変化であるという事は十分に注意する必要がある。

 

現実の社会というのはせいぜい、運転免許証の試験みたいなものである。

読解力が必要なケースというのはそれほどない。

現に今の子供は主語も推論もわからなくても普通にスマートフォンで文字情報をやり取りしている。

これまでの世代が読解力の欠如で困る事がなかったのと同じように、今の子供が将来読解力がなくて困る事はないだろう。

それなのに読解力の話になると運転免許証みたいな話が出てきてしまいがちなところに読解力に関する議論の滑稽さがあると思わないでもない。

電子出版した本

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。 

世間は英語英語と煽りまくりですけれども、じゃあ具体的に英語をどうするのか?というと情報がぜんぜんないんですよね。なんだかやたら非効率だったり、全然意味のない精神論が多いです。この本には僕が英語を勉強した時の方法が全部書いてあります。この本の情報だけで、読む・書く・聞く・話すは一通り出来るようになると思います。