グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

三等空佐は思い上がるな

統合幕僚監部所属の三等空佐が国会付近をランニング中、日報問題を追求している民主党小西洋之参議院議員に「お前は国民の敵だ」とか、「お前の活動は気持ち悪い」などと罵声を浴びせる出来事があった。

とんでもないことだ。

https://dot.asahi.com/wa/2018042100018.html

まず、この三等空佐は国会議員であるということがどういうことなのかまったく分かっていない。

基本的に、ごく一部の例外を除いて、有権者はたいして政治に興味を持っているわけではない。国政報告会を開いたら一人しか来なかったなんてざらなのだ。もちろん、一人しか来なかったからといって国政報告会が中止になるわけでもない。その一人に対して、30分なり一時間なりひたすら話し続けるのか国会議員なのである。

そうして有権者の無関心の中政策を訴えても、国会議員とでいられるのは参議院議員でも6年、解散総選挙がある衆議院議員だとせいぜい3年程度である。「働き方改革」など雇用のあり方が問われる昨今だが、国会議員の雇用は非正規そのものである。

選挙になれば当然、当選する保証はない。もちろん地盤が磐石で実質的に対立候補が存在しない場合もあるが、選挙の強さが拮抗している場合も多い。選挙の強さが拮抗している場合、選挙の結果は「風」次第になる。普通なら勝つはずの選挙のはずが強烈な逆風の前になすすべもなく落選する、なんて日常茶飯事だ。

かといって、普段からの政治活動に手を抜くわけにもいかない。忘れてはいけないのは、国会議員が政治活動をしている間に対立候補も政治活動をしているということである。国会議員が政治活動をしている間、対立候補も必死で政治活動をしているのだ。今だって、小西議員の地元では自民党対立候補が地元をあちこち歩き回っているはずだ。

 

落選した政治家は悲惨である。一期で再選できるならまだいい。これが政治生命を失った場合、話を聞いていても気の毒な状態になる。人生塞翁が馬、とはよく聞く言葉だが、政治家に関しては政治生命を失ったことでかえって大きな成功をつかむ、という話はまったく聞かない。

国会議員というのはみな、国会議員であることに伴う大きなリスクを取っているわけで、これは小西議員も例外ではない。一方、三等空佐はいったいどれほどのリスクを負っているのだろうか。幹部自衛隊員の取っているリスクと国会議員の取っているリスクを比較するのはナンセンスだが、それでも幹部自衛隊員が国会議員より比較にならないリスクを取っているとは僕は思わない。

どんなに下らなく見えようが、国会議員であるというのは大変なことなのだ。そしてその大変さは国会議員である限り何十年も続く。明らかに、国会議員は普通の人ではない。幹部自衛官が楽な仕事とは僕は思わないが、三等空佐は国会議員であるということがどのようなことなのかまったく分かっていない。

たとえば三等空佐が政治的行為をしたいならば退官して選挙にでも打って出るのが筋だが、三等空佐にそれができるか?多分無理だろう。小西議員が国会議員なのは国民が選んだからで、この意味で小西議員は選ばれた人だが、三等空佐が三等空佐なのは国民が選んだからではない。国会議員の権威を舐めてはいけない。

 

今話題になっている日報問題は、世間が考えているよりも遥かに深刻な問題であると僕は考える。

まず、日報が本当に無くなってしまったとしたら、それは戦後初めて「戦闘地域」に自衛隊が派遣されて何が起こったのかを検証する基本資料がプリントアウトにして16,000ページ分も失われるということだ。このような重要な資料がどこにあるかわからなくなっていたことが恐ろしいし、そのことについて何とも思わない三等空佐のような人物が統合幕僚監部で大手を振って歩いていることが信じられない。

一方、もし自衛隊が日報のありかを初めから明確に認識していながらその存在を政治家に隠していた場合、政治家は正しい情報に基づいた政治判断を行うことができない。三等空佐はそのような政治判断は自衛隊が行えばいいとでも考えているのだろうが、もしこのような考えが自衛隊で広まっているとしたら恐ろしい。

軍人が政治判断を行えば悲惨なことになるのは「大東亜戦争」が証明している。今回の三等空佐の振る舞いは幹部自衛官たる者の頭の程度が軍人として認識すべき最も重要なことを理解できない程度であることを示唆する。まあ、だから軍人に政治判断をまかせるのは無理なのであるが、正確な理屈を理解するのは無理でも、せめて政治判断は政治家に任せることになっているということだけは理解してもらわないと困る。

もちろん、日報を野党政治家に提出しても反改憲運動に使われるだけ、というのはわからないでもない。しかし、改憲をすべきかどうかの政治判断を下すのは究極的には一人ひとりの有権者自衛隊ではない。その判断材料を有権者から信任された国会議員に開示しないのは、(いかに野党議員がくだらない連中であったとしても)やはり間違っているし、そもそも世間で改憲に対する懸念があるのは自衛隊に三等空佐みたいな連中がいるからなのだ。

 

有権者は有象無象の素人ではない。有権者の大半はそれぞれの専門分野を持ったプロである。農家なら農業のプロ、流通なら流通のプロ、土木作業員なら土木のプロ、自動車なら自動車のプロ、精密機械なら精密機械のプロ、プログラマーなら情報処理のプロとして、それぞれの職業生活で得た経験から政治判断を行なっているのだ。

今回の三等空佐の振る舞いは究極的には有権者の政治判断能力を愚弄するもので、断じて許されない。三等空佐は猛省をして、どうして自分が批判されたのかを考えないといけない。

電子出版した本

 

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。 

世間は英語英語と煽りまくりですけれども、じゃあ具体的に英語をどうするのか?というと情報がぜんぜんないんですよね。なんだかやたら非効率だったり、全然意味のない精神論が多いです。この本には僕が英語を勉強した時の方法が全部書いてあります。この本の情報だけで、読む・書く・聞く・話すは一通り出来るようになると思います。