グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

ハリルホジッチとヒヤリハット

免許更新の講習などでハインリッヒの法則という法則を聞いたことがある人も多いだろう。重大事故一件の裏には29件の軽い事故があり、その裏には事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例(ヒヤリハット)が300件ある、という、例の法則のことだ。重大事故が起きる前には必ず軽い事故、あるいは事故になりそうな事例が数多く起きている、大したことないからとこのような異常を放置していればいつかは大事故につながる、ということをマネージメント側が説明する際に使われる。

今回のワールドカップ直前でのハリルホジッチ解任というニュースを聞いて、これは本当にハインリッヒの法則とかヒヤリハットそのままだなあ、と思った。

僕は以前、ハリルホジッチが小学生にサッカーを指導するという企画のテレビ番組をたまたま見たことがある。そこでハリルホジッチは次のようなことをいっていた。

「勉強は大切です。誰もがサッカー選手として成功する訳ではないのですから」

たしかにハリルホジッチは本当のことを言っただけだ。プロとして成功するサッカー選手は本当に驚くほど少ない。しかし、このようなことを言われて勉強を頑張ろうと考える子供は一人もいないと思う。ハリルホジッチは人の心が分からない人だと思った。

このときはもちろん、相手が一度だけ会う子供なので特に何も起こらずにすんだ。しかし、番組収録中テレビカメラが回っている中でこんなことを言ってしまうくらいだから、ハリルホジッチは普段からかなり深刻な失言を繰り返していたはずだ。実際、一部のサッカーマスコミによると、ハリルホジッチは代表選手にかなり心ない発言をしていたようだ。

この時期での代表監督解任には当然、批判的な声が大多数を占める。いまハリルホジッチを解任したら、何がよくて何が悪かったのか検証が出来なくなる、ハリルホジッチは一生懸命やっているのにこの時期での解任はあんまりではないか、これでまともな外人監督は日本に来なくなるだろう、など、どれももっともな意見だ。

サッカー協会もこれらのことは完全に理解していたはずだ。それでも解任に踏み切ったと言うことは、なにかよほどのことがあったのだ。

基本的にサッカー選手は厳しいことを言われ慣れている人たちなはずだ。まして日本代表にまで上りつめた選手が少しくらいのことでふて腐れるとは思えない。その代表選手が、ハリルホジッチの下でワールドカップを戦うのは耐え難い、と思うのだから、やはりハリルホジッチにはサッカー指導者として深刻な欠点があるのだろう。

今回のハリルホジッチの解任がどのような結果になるかは誰にも分からない。しかし、ハリルホジッチ本人からすると、今回の解任は考え得る限り最悪の大事故であることは間違いない。

一つの重大事故の裏には多くの軽微なトラブルがあり、さらに多くの「ヒヤリハット」がある、という法則がすべてのことにあてはまるならば、それは代表レベルの指導にも当てはまる。というよりはむしろ、代表レベルだからこそヒヤリハットに注意しなければいけない、ということをハリルホジッチの失脚は示していると思う。