グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

「行動力」なんて、そんなものは実はないのではないか?

「仕事も人生も遊びでいい」は「想定外」にいい本だった。堀江さんの本のなかで誰かに一冊勧めるとしたらダントツでこれだろう。

内容は、堀江さんの本や過去の発言などから読者がメモしそうな感じの部分を集めてきたものである。これまで僕はこのような本には全く関心がなかったが、実際に読んでみると非常によかった。何がいいかというと、この本を読むと堀江さんのものの考え方の全体像がよく分かる。この本は堀江さんの考え方の全体像を紹介するために作られた本だからそれは当然だが、とにかく読んでいて、堀江さんの考えの全体像というのはこのようなものなのかな、と頭の中が整理されていくような本である。そして、頭の中が整理されていくにつれて、堀江さんのもつ違う側面も見えてくる。

僕が非常に興味深いと思ったのは、堀江さんの「流れ」に対する考え方だ。この本を読んで、僕は堀江貴文という人物を理解する上ではこの「流れ」について考えることが一番重要だと思った。

堀江さんというのはよく、計画的に(そしてときには力づくで)欲しいものを手に入れ、目標を達成していく人とおもわれているが、この本を読んだ限りでは堀江さんというのは全く逆のタイプの人間なのではないか、という印象を持った。つまり、堀江さんというのは流れに乗るのがだれよりもうまい人なのである。

流れに乗るというのは、例えば何か面白そうな「チャンス」があるならば堀江さんはとりあえず流れに乗ってみる。そこに流れがあるからチャンスというものがあるわけだから、チャンスに乗れば流れに乗ることができるのだ。そうして流れにのれば当然堀江さんは遠くまで運ばれていくわけだけれども、運ばれていった先にも当然流れというものはある。そこで、堀江さんは次の流れに乗るのである。

外から見ると、堀江さんはものすごい行動力で自分で道を切り開いているように見える。しかし、たぶん堀江さんにはそのような意識はなくて、どちらかというとサーファーがビッグウェーブに乗るようにそこにあるなにか大きな流れ(あるいは力といってもいいかもしれないが)を利用して先に進んでいく、という感覚なのではないだろうか。

世の中でいわれる「行動力」というのは実はそんなものはなくて、要は流れに乗るか乗らないかというだけのことのような気がする。行動というのはバンジージャンプのようなものではないだろうか?ある意味、バンジージャンプをするのにはほとんど何の行動力もいらない。一歩分足を踏み出しただけで勝手に落ちていくのである。サーフィンだってそうだ。サーファーが前に進むのは、サーファーが一生懸命前に進もうとしているからではない。

よく、現実は小説より奇なり、というが、現実というのは人間の想像のはるか上を行くのが普通である。それならば、将来のことをあれこれ考えるよりは流れにのり、流れるに任せた方が合理的ともいえる。そうすれば考えても無駄だと分かっていることをいつまでも考えてしまうなんてこともないし、見当違いの努力の結果時代に取り残されるということもない。計画なんてどうせ計画通りうまくいくことなんてないのだから、計画や準備はほどほどにして、あとは行き当たりばったり、その時々の流れに乗っていくというのが結局は一番うまくいくのかもしれない。