グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

リネールは石井慧と同じことをやったに過ぎない

オリンピック柔道競技100kg超級決勝の試合内容が大きな話題になっている。たしかに相手に指導を取らせて安全に逃げ切るという柔道ではどちらが勝ったのかはっきりしない。柔道はスポーツであると同時に格闘技でもあるはずだが、柔道が格闘技だとしたら指導2で金メダルなんて馬鹿らしいにも程がある。そういう意味で、僕はリネールの金メダルの値打ちというのは銀メダルとそれほど違いがないと思う。試合終了後の原沢が淡々とした様子だったのも当然の事だろう。

しかし、僕は世間のリネールばかりが悪いという風潮にはいささか疑問を感じる。今回のリネールの勝ち方は北京オリンピックの100kg超級で石井慧が金メダルを取った時の勝ち方と同じである。石井は決勝でロクに技をかけずに指導だけは確保して、危なげなく金メダリストになったのだ。

その時の国内の反応は今回のリネールに対する反応と全く逆のものであった。テレビの中継でも、解説の柔道関係者が「いいですよ!いいですよ!これでいいんです」と解説していた。そして石井が金メダリストになった時、石井の勝ち方を問題とする人間はメディアでは誰もいなかった。今の柔道のルールでは、100kg超級の決勝はそのようにして戦うしかないのだろう。石井は準決勝まですべて一本勝ちで勝ち進んでいる。

バルセロナオリンピック銀メダリストの小川直也は「リネールは技を4回掛けたけれども原沢は1回もかけられなかったので原沢の完敗」とコメントしている。つまり原沢は技をかけるフリも出来なかったということで、そういう点では今の柔道のルールは力の差を判定するためのルールとしては一応機能しているのかもしれない。先ほどリネールの金メダルの値打ちは銀メダルの値打ちに近いと書いたけれども、やはりそこにははっきりとした違いがあるんだろうな、と思います。