グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

学校でやる語学は、一通り語学をやった人には役に立つかもしれないが全くの初心者にはあまり役に立たない

大学中退に関するエントリーははてなでは定番中の定番だけど、昨日もそういうエントリーを読んだ。慶応の仏文に入ったけどもブルジョア的な学風になじめず、フランス語の活用を覚えるのもいやになり1年半で中退した、という記事である。

この、フランス語の活用を覚えるのが嫌になった、という話は少し解説が必要かもしれない。大学で第二外国語としてロマンス語系の言語を選択した人は分かると思うけど、フランス語を始めとしてロマンス語というのは文法が複雑なのである。時制が沢山あり、それに合わせて動詞の語尾が変化するのだがその変化のパターンの種類がものすごい多いのだ。パターンの数が英語とは比べものにならないほど多いし、しかも変化の仕方が英語のように単純でない。フランス語で覚えるべき文法事項は、英語の数倍あるだろう。僕は英語しか分からないので、それが2,3倍なのか10倍なのかは知らないが、しかし英語より覚える事が比べものにならないほど多い事に間違いはないはずだ。なので、フランス語というのは始めがコケやすい。文法を勉強するのが大変すぎて投げ出してしまうのである。

ところが、語学で本当に必要なのは文法ではなくて単語である。いくら数十ページにもなる動詞の活用表を隅々まで覚えたとしても、単語を知らなければ何も分からないし何も言えない。逆に単語を一万語くらい覚えておけば、文法などほとんど知らなくても何を言っているのかは大体わかるし、必要な単語を並べておけば言いたいことは大体伝わる。つまり一応はその言語を使えるようになるわけである。

もし一応は言語が使えるならば、どのような文法事項が必要なのか分かってくる。言葉を使う中で、文法を勉強する必要性が出てくるからである。そうなれば文法を勉強を続けるのは難しくない。主体的に文法に取り組む事ができる。だから、たとえばフランス語を勉強するならば、まず文法よりも単語を覚えるべきなのだ。そしてフランス語の文法を覚えるよりも、フランス語の単語を一万語覚える方がおそらく数百倍簡単である。

今にして思うのだが、学校の語学の授業というのはある程度語学が分かっている人のためのものであるような気がする。一通り語学が分かっている人が学校の授業を受けると、今まで混乱していた知識も整理できるし、曖昧にしていた部分を再確認することもできるわけで、学校の授業もそれなりに有意義なものであるだろう。

やはり大学の語学の授業を有意義に受けるには、高校生の時に一通りのことをやっておくのが一番いいと思う。しかしそれでは受験というものに差し支えが生じるわけで、そこに大学教育の難しさがあるような気がする。案外、慶大の仏文科の入試は芸大の入試みたいな感じにして、入試科目をフランス語・小論文・世界史の三科目にしてしまえばいいかもしれない。

参考

【実録】これが大学中退者の末路だ! - 関内関外日記