グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

悪人ヒラリーは大統領になれるか?

よくテレビ番組で、アメリカの有権者有権者にヒラリーの印象を聴くと「嘘つき」「信用できない」という答えが返ってくる。それはまず、ヒラリーの話し方がいかにも、自分の信念であるというよりは、自分が得するような事を計算して話しているように見えるからだろう。どうも話を聴いても情熱というものが伝わってこない。僕はオバマはアメリカのリベラルの欠点をものすごいリアルに体現している人物だと思うけど、少なくともオバマは話している事に本当に関心を持っているわけ。それは話を聞いていると分かるし、その事がオバマのカリスマになっている。ヒラリーにはこういうカリスマ性がない。

人々のヒラリーに対する不信は、これまでのヒラリーの政治活動にも理由があるだろう。ヒラリーはこれまで30年間、アメリカ政治の失政に深く関わってきた人物である。非常に深刻な社会問題を招いたNAFTAもそうだし、完全に泥沼化して進むのも地獄、退くのも地獄という状況になっている中東情勢もそう。中国をここまで付け上がらせたのもヒラリーだし、ウォール街からも大量のカネを受け取って、これまでウォール街の利益のために働いてきたのだ。ヒラリーはそれらの過去に対して全く責任を取っていないし、責任を取るどころかこういう過去などまるでなかったかのように平然とした顔で民主党の大統領候補になっている。だから、多くのアメリカ人の間でヒラリーは一種の悪人であると思われている。

問題は、ヒラリーが悪人であるということはヒラリーの政治的才能の現れであるとも言える事である。普通これくらい真っ黒な人物は大統領候補になる前にとっくに潰されているはずだけど、ヒラリーは仲間の大手メディアの大応援を受け、これまでのところ互角に選挙戦を戦っているのだ。これには女性であるという事が有利に働いているというのもあるが、やはりヒラリーにはそれなりの政治的才覚があるのだろう。小泉純一郎は「悪人でなければ政治家は務まらない」と言ったらしいけど、そういう意味で言えば、たしかにヒラリーのような人物は政治家に向いているのかもしれない。

考えてみたら、なにも善人がアメリカ大統領をやる必要はないのだ。悪人だろうが、とりあえず任期中だけ善人を演じてくれればいいのである。そしてヒラリーはこの種の演技をするのが非常にうまい。ヒラリーが状況に適応するのがうまいのは、ヒラリーが悪人であるからとも言える。もしヒラリーが大統領に当選したら、ヒラリーは時代の流れを読みながら政治を行っていくだろう。そして、それはアメリカにとって、あるいは世界にとって悪いことではない、と僕は考える。