グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

経産省のメディアに対する認識はおかしくないか?

globalizer-ja.hatenablog.com

先ほどは経産省の「不安な個人 立ちすくむ国家」というペーパーについて取り上げたが、違和感を感じる部分は他にもある。

http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf

たとえば、このレポートではフェイクニュースを取り上げ、「自分で情報を選び、自分で決断しているつもりが・・・実際には与えられた情報に踊らされている?」などと、エスタブリッシュメントとは異なった判断をする有権者を批判している。

しかし、僕は経産省がフェイクニュースについて取り上げるのはものすごい変だと思った。

というのは、経産省は「5重の壁」とか言いながら、原発というのは絶対に安全である、というフェイクニュースを何十年にもわたって垂れ流し続け、その結果原発を爆発させて日本国に何百兆円もの損害をもたらした張本人であるからだ。

その当時の経産省からすれば、原発が絶対に安全であるというのはファクトであり、反原発運動をする人間がいう事はすべてフェイクニュースだった。

たしかに、反原発派の主張にはおかしい部分も少なくなかったのだが、しかしながら原発の安全管理が非常に杜撰に行われており、事故が起こるのは時間の問題だ、という反原発派の主張は結局正しかったのだ。

当時から原発の安全性に関する懸念はさんざん指摘されていたにも関わらず、経産省の官僚は保身と出世に汲々とするだけで、原発の安全性を向上させるという義務を怠ってきた。

福島第一原発が爆発したのは津波によって地下にある冷却用のポンプが水没したからだったが、一説によると、このポンプを安全な場所に移すには数百万程度の費用しか掛からなかったといわれている。

まさかポンプ移設が数百万で済むとは思えないが、もしそれよりも費用が掛かったとしても、せいぜい数億程度の金で済んだであろう。

しかし、その代わりに経産省の官僚がしたことは、電事連を通して民放に年間にして2,000億円もの金をばらまいてフェイクニュースを垂れ流し、原発に関する懸念や不祥事(不祥事というが、端的には違法行為、犯罪である)を握りつぶす事だった。

これはなにも数十年前、数百年前の話ではない。

つい6年前、2011年の3月11日までそうだったのだ。

このような前科のある経産省がフェイクニュースの問題を取り上げて国民に説教するなど、図々しいにも程がある。

僕個人としてはこのレポートは好意的にとらえており、あまり過去のことをあれこれいうのは気が進まない。

僕だってこの先、経産省の官僚の方と話すことがあるかもしれないわけで、あまり原発についてばかり拘る人間と思われるのは本意ではない。

しかし、このフェイクニュースの取り上げ方には経産省の当事者意識のなさが間接的な形で表れていると思う。

経産省の職員なら、フェイクニュースと聞いた時点で、フェイクニュース→安全神話→マスコミ→電事連経産省→爆発、というように連想を巡らせないといけないのだ。

経産省というフェイクニュースの親玉だった組織に在籍しながら、フェイクニュースの脅威について(もちろん経産省がやってきたことは丸ごとスルーして)このようなレポートを書くところを見ると、意識は高くて他人事、という経産省の無責任体質は全く変わっていないのではないか、と疑わざるをえない。

フェイクニュースというのは、裏で汚いカネを受け取りながら(たとえば電事連から年額にして2,000億とか)エスタブリッシュメントに都合のいい話を垂れ流す既存メディアに対抗するための記号にすぎないので、ある意味、内容が真実であるかは問題ではない。

フェイクニュースの存在は既存メディアの腐敗、もっと言えば行政腐敗(原発を爆発させるとか)を含むエスタブリッシュメントの腐敗と表裏一体の関係にあり、フェイクニュースのみを批判するのは許されない。

いや、このレポートは明るい未来像を語るためのもので、経産省の過去の失政について論ずるためのものではない、という人もいるかもしれない。

僕も、これについてはある程度の理解ができる。

しかし、そうであるならばフェイクニュースの話題はスルーするべきだし、もし取り上げるなら過去の原発に関連した経産省発のフェイクニュースについても何らかの形で論じなければならない。

それをしないならば、このレポートは、小泉政権が郵政をスケープゴートにしたように、厚労省スケープゴートにして経産省の失政から国民の目をそらし、自らの延命を図ることを目的としたもの、と疑われても仕方がない。

僕は何も経産省に、国民に対してペコペコしろ、と言っているのではない。

官僚がペコペコしてもいいことは何もない。

しかし、謝罪がない事と反省がない事は全く別の事である。

もちろん、このレポートを作成した若手職員は原発行政に深く関わったわけではないだろう。

それでも、年配の職員と話をする中で「フェイクニュースというけど、安全神話だってフェイクニュースなんだよね」というような話があってよさそうなものだ。

もし経産省の全体として、原発事故がなかった事になっているとしたら恐ろしい。

このレポートは原発を爆発させた経産省によるものである、という事実は、はっきりと認識される必要がある。

原発を爆発させた官僚だって意識高く天下国家を論じていたことを国民は忘れるべきではない。

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電子出版した本

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

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