グローバル引きこもりブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール acc4297gあっとgmail.com

小野美由紀著「人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅」

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(カミーノ)とは、スペインの北西にあるサンディアゴという街に向かう巡礼のためのルートである。サンディアゴはカトリック信仰の世界ではかなり重要な所らしくて、サンディアゴへの巡礼の旅には1000年以上の歴史がある。日本にも四国の霊場を88ヵ所まわるお遍路というものがあるけれども、そのカトリック版である。もっとも、巡礼の起源はカトリック信仰にあるとはいえ宗教色は薄く、巡礼の目的も今では公式に「宗教的、あるいは精神的なもの」と定められている。

主要な巡礼路はいくつかあるが、フランスからピレネーを超えてサンチアゴに向かうルートが有名である。フランスからイベリア半島を縦断するわけだからものすごい距離である。もしこのルートを全部歩いた場合、巡礼者はイベリア半島だけで800km歩くことになる。巡礼者には一種のパスポートが発行され、このパスポートを提示すれば巡礼ルートにある宿泊施設に格安で宿泊できることになっている。

巡礼をする人の動機はさまざまなようだが、やはり精神的に救いを求めてサンティアゴを目指す人が多いらしい。ひたすら歩いている内に本当に重要な事が分かってくるのだという。

本書は実際にカミーノを歩いてスピリチュアルな体験をした女性の体験記である。もともと相当なメンヘラだったようだが、それでも頑張ってキラキラ女子をしているうちに過労でパニック障害になり、電車にも乗れない状態になったのでサンティアゴを目指すことにしたのだという。著者の小野美由紀は慶応の仏文卒。仏文科だけあって、本の文体はいかにも仏文科の出身者が書きそうな文体である。とにかく表現がおしゃれなのである。感情表現が少し過剰なような気もするけど、メンヘラなのだからこれは仕方がない。

巡礼を通して知り合った世界各国の人の話も興味深いのだが、それと同じくらい南欧というのはどういう所なのか、という事が伝わってきて面白かった。たとえば、スペインというのは質のよい農産物が大量にある所で、値段も北欧などと比べると本当に安いらしい。気候も土壌も、農業が簡単に出来るような感じなのだろう。そういう所に住んでいるとキャラクターもあんまり深刻にならないだろうし、巡礼なんてものが盛んなのも食い物が豊富にあるからなんだろうな、と思った。

それから食い物にならんで南欧の国に住んでいる人のキャラクターを形作っていると思うのは歴史である。南欧では、歴史というのはいたるところにある。石畳なんて、場合によってはローマ人が歩いてたものがそのまま今でも使われてそうだ。建物が木と紙で出来ていた日本と違って、スペイン人というのは歴史の中を生きているわけで、これがスペイン人のものの考え方に影響していることは間違いない。

南欧の文化を知るにはなかなかいい本である。