グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

ビジネスに効く映画

日経CNBCには「ビジネスに効く映画」という番組があって、たまにビジネスに関係がある映画を放送しているのだが、今回はジョブズの伝記映画を放送するというので録画して見てみた。

www.nikkei-cnbc.co.jp

以前ジョブズの公式の伝記(英語のやつ)を結構な時間をかけて読んだことがあったというのもあって、内容については何の期待もしていなかったのだが、実際に見てみると思ったよりもはるかに価値のある映画だった。

これならビジネスをやっている人間に役に立つというのも間違いではないし、公式伝記を読んだことのある人でも見る価値があるというか、公式伝記を読んだ人こそ見るべき映画かもしれない。

Steve Jobs: The Exclusive Biography

Steve Jobs: The Exclusive Biography

 

もっとも、映画の出来についていえば、ある意味この映画はかなりひどいものであると思う。

いろいろな事を2時間にまとめる必要があるとはいえ、登場人物の感情表現のテンプレ的な薄っぺらさは「コントかよ」と言いたくなるほどのひどさで、こんなものを絶賛できるアップル信者は本当におめでたい。

登場人物の苦悩というものが説明的に表現される様子は本当に見ていられない。

まあ予算やスケジュールの都合もあるのかもしれないが、全体的に、こんなもんでいいだろ、というスタンスで映画を作っている感じがする映画である。

 

しかしながら、僕はこの映画の価値というのはまさにこの安っぽさというか、薄っぺらさにあると思う。

アップルもそうだけれども、ああいう大成功したIT企業に関する話というのは、商業的な理由もあってどうしても伝説とか神話のような語られ方をすることが多い。

そして、僕も含めてそういう話を聞いている一般人も、どこかそういう話は自分が生きている世界とは全くかけ離れた別の世界の話として聴いている。

活字を通すと、どうしてもそうなってしまうのだ。

それが、これを映像にしてしまうと、これらの事というのは全くチンケなものに見えてしまう。

現実というのはこんなもんか、という感じだ。

まあ、実際にアメリカ西海岸のIT企業がやっている事を見ると、そのかなりの部分はチンケなものであるわけだからチンケなのは当然だが、ようするにチンケというか、こういう感じの映像にしてしまうとその当時に起きていた事というのが途端にリアルに思えてくる。

つまり、動く金額のケタが違うだけで、実際に「シリコンバレー」で起きている事というのはそこらへんの中小企業で起きている事と本質的には何の違いもないな、という事だ。

そういう神話的な雰囲気に取り囲まれたアップルとかジョブズの話を日常のレベルに引きずり下ろす、あるいはリアルなものにするという意味で、この映画の意義は非常に大きい。

 

2時間という時間の制限もあり、この映画で取り上げられている事というのはそれほど多くない。

しかし、取り上げられられているテーマはかなりうまく選ばれていると思う。

たとえば、目的意識もなくアップルの創業に参加したメンバーの中には会社が大きくなった後でも何をしたらいいのか分からず、居場所を失う者が出てくる。

アップルが上場した時に、ジョブズはそういう無能な友人を株を一株も渡すことなく会社から追放したのだが、このようなやり方には当然軋轢が生じてくるし、やがてはジョブズ自身も大企業になったアップルの中で居場所を失い、追放されることになる。

そういう話が、そこらへんの平凡といえば平凡、退屈といえば退屈なカルフォルニアの風景のなかで展開されるのだ。

 

この映画だけでジョブズとかアップルの歴史を理解する事はできないが、一通りの情報を知った上で見ると非常に意義のある映画なのではないだろうか。  

最良の情報というのは活字としてある、という活字信仰は本当に根強いものがあり、この活字信仰はネット時代になってなおさら強くなっているような気がする。

しかし、世の中には映像にしないと分からない事、活字にしてしまうと分からなくなってしまう事があるのだな、ということを再認識させられたし、そういう情報こそビジネスでは重要なのかもしれないと思った。

電子出版した本

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。

世間は英語英語と煽りまくりですけれども、じゃあ具体的に英語をどうするのか?というと情報がぜんぜんないんですよね。なんだかやたら非効率だったり、全然意味のない精神論が多いです。この本には僕が英語を勉強した時の方法が全部書いてあります。この本の情報だけで、読む・書く・聞く・話すは一通り出来るようになると思います。