グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

激安スキーツアーと資本主義の困難

軽井沢スキーバス転落事故から一年が経った。

いろいろな意味で資本主義の困難を象徴する出来事だったと思う。

 

なんでこの事故が世間の注目を集めたか、というと、被害者に何人か裕福な家庭の大学生がいたからだよね。もちろん、本当にカネが無い人にとっては大学生をしてスキーツアーに行くという事自体が裕福な事なんだろうけど、すごい裕福な学生が激安スキーツアーに参加して亡くなったというのがこの事故が騒がれた原因だと思う。

この話を最初に聞いたとき、僕はちょっと激安スキーツアーってどんなんだろ?と思って旅行業者のページを色々見ていた時期がある。それで分かったのは、激安スキーツアーの価格設定って本当に激安なんだよね。

いや、始めは報道の中に「一泊三日」のツアーと言っているのを聞いて、一泊三日ってなんなんだろうか、と思って興味を持ち始めたんだけど、スキーツアーの内容を見てみたら値段が本当に激安だった。

一泊三日というのは、ようするに長野とか新潟とかのスキーリゾートに向かう途中で車中泊するからなんだけど、スキー用品とウェアの貸し出し、リフト券、ホテルでの宿泊費(食事つき)、バス代金など全部合わせてたしか一万二千円くらいだった。

なんだか不安になってくるような価格設定だ。

もちろん、ここは日本なんでこういう価格設定でもそれぞれの業者は真面目に仕事をしているわけで、事故を起こしたツアーも特におかしそうな所はなかった。だから事故はたまたまなんだけど、やはり無理があったという事だろうね。

 

話は戻るけど、事故で亡くなった学生にはかなり裕福な学生がいた。今はSNSとかあるから、そういうのが丸わかりなんだよね。海外に行ったりさ、着てる服とかでもわかるじゃん。

そういう学生が一万二千の激安ツアーに参加して亡くなるところに資本主義の難しさがあると思う。

だって私大に行くには年に100万くらいかかるでしょ?そういう家庭はその100万を出せるキャッシュもあれば、フローもある。ポンと出せるわけだよね。

でも、いくら裕福な家庭でも、「友達とスキー旅行に行くから10万円ちょうだい」という事にはならない。そういう事にカネを使うのに抵抗があるから。でも私大に行くとか、海外旅行、海外留学にカネを使うのに抵抗感はないだろうね。なぜなら、それは投資だから。

「友達とスキー旅行に行かないから1万円ちょうだい」という事にもならない。

やっぱりね、人間は投資には大きいカネを投入できるけど、消費にはあんまりカネを投入できないものなんだよ。そこに資本主義の困難があると思うね。

裕福な人は消費する代わりにガンガン投資して、どんどん資産を増やしていく。みんなガンガン投資するから、投資額もデカくなる。ハーバード卒業するのに5,000万とか、そういう事でしょ。5,000万投資して1億儲かるなら、みんな5,000万投資するわ。

それで、5,000万でハーバードを卒業したらその5,000万はどこかで取り戻さないといけない。

 

だから「構造改革」というのは危険で、規制というのは重要なんだよ。規制がなくなっても裕福な家庭の学生が激安価格でスキーに行けるようになるだけだからね。

しかし、ツケは誰かが払う事になるわけで、それは必ずしも「無能な」貧乏人だけが払うとは限らない。

今回の場合それを払ったのは亡くなった大学生で、75年前は徴兵されて亡くなったボンボンの大学生だった。

自由な社会というのは、規制のある社会よりも危険である。もちろん、カンが鋭ければ危険というのはかなり避ける事が出来る。例のバスツアーでも、東大・一橋・慶大からは犠牲者は出なかった。それは単なる偶然かもしれないし、事故になったバスツアーに参加した人には多かれ少なかれ怖いもの見たさの冒険主義があったと思うけど(そして、生き残った人はいくら金を出してもできない貴重な経験をしたわけだけど)、危険を察知して少し高いツアーにした学生はいると思う。

立教・青学・明学・明治などからも犠牲者はでてないので、ぱっと見た所スクールカラーが出た感じだったよね(明治のスクールカラーは今、どうなっているんだろ?)

あるいは、ツアーの出発地点とキャンパスの所在地の位置関係の影響で決まっただけかもしれないけど、ほかのスキーツアーの出発地点も同じようなものだろうし。

まあ、こういうスキーツアーで犠牲者を出すというのはあまり名誉な事ではない。

 

それはともかくとして。

構造改革が完全にオワコンになったのは、やっぱり裕福な階層にもその危険性がだんだん分かってきたからだろうね。どういう形でトラブルに巻き込まれるかわからないわけだからさ。

自由で安全な社会というのは存在しない。自由で危険な社会か、規制があっても安全な社会かのどちらかを選ばないといけない。規制というのは安全を確保するためにあるわけだからこれはトレードオフなんだよ。

一年前のバス転落事故はこの事を象徴しているよね。

電子出版した本

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。

世間は英語英語と煽りまくりですけれども、じゃあ具体的に英語をどうするのか?というと情報がぜんぜんないんですよね。なんだかやたら非効率だったり、全然意味のない精神論が多いです。この本には僕が英語を勉強した時の方法が全部書いてあります。この本の情報だけで、読む・書く・聞く・話すは一通り出来るようになると思います。