金融機関の営業とAKB商法
日本シリーズの録画をもう一度見ていたのだが、そこで流れていた三井住友銀行の資産運用のCMってあらためてすごいなと思った。堺雅人が演じる銀行員が来店した老人を接待するCMだ。
堺雅人「お待ちしておりました」
老人「いままで、関心がなかったんです。投資や運用なんて」
堺雅人「はい」
老人「正直、今でもよく分からなくて」
堺雅人「では、守る運用から、始めてみませんか?」
老人「とにかく、大切にしたいんです。自分だけのお金じゃないんで」
堺雅人「(やたらと決然とした表情で)はい」
(ナレーション)まるごと話せる人がいる。三井住友銀行、窓口相談受付中。
とまあ、こんな感じのCMなのだが、その顧客の老人が、なんというか、いかにも気弱そうで、しかもさみしくて誰かと話したくて仕方がなさそうな感じなのである。とにかく、全身からさみしさがにじみ出ている。そして、肩書とかブランドがないと相手にしないが、肩書とかブランドには簡単に騙されそうな雰囲気なのだ。
一言で言って、いかにも金融機関のカモになりそうなタイプである。ほとんど金融機関の営業がイメージする理想の顧客を表現したものと言っていいだろう。今年は「まるごと話せる人がいる」というコピーだったが、去年はもっと露骨だった。たしか、「話したいのは、お金の事だけじゃなかったんだ」というコピーだったと記憶する。
三井住友銀行が提案しているビジネスは、従業員が話を聞いてあげるかわりに運用額の何パーセントかをいただく、というものだ。これはAKB商法と同じようなものである。ここでは、従業員は「推しメン」のようなものである。ファンがAKBのアイドルにカネを費やすほどアイドルが出世するように、客が従業員が薦めるままに金融商品を買うほど従業員の成績は上がるのだ。
個人的には、本当に「守る運用」をしたいならインデックスファンドでも買っておけばいいのだから、三井住友銀行などにはぜったいに行ってはいけないのではないかと思う。三井住友銀行がどのような金融商品を売っているのか僕は知らないが、三井住友の社員の給料分がどっかり引かれるこれらの金融商品がリターンと安全性の面でインデックスファンドを上回るのはほぼ不可能だろう。
僕はこういうビジネスを詐欺だと非難するつもりはない。AKB商法がそうであるように、こういうビジネスが提供する価値というのはカネには換算しにくいのである。 それに、確かに将来が心配だからといって、少しばかりのカネを稼ぐためにとんでもないリスクをとる有様は見苦しいものであるが、そういう連中から巻き上げられたカネは他の事に使われる。現に、日本シリーズをテレビ中継するための費用の一部は、銀行がこの手の情弱老人から巻き上げたカネによって賄われているのだ。
まあ、金融機関から夢を買うよりは(どうせその金は海外などに投資されるのだろうから。途上国への募金とでも考えるべきか)飲み食いかなんかで使ったほうが世の中にプラスになると個人的には思うのだが、世の中は昔からこんな感じで回っているというのも事実だ。余計な事を考えず、日本シリーズの中継だけ見ていればいい、という所であろうか。
電子出版した本
多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。
世間は英語英語と煽りまくりですけれども、じゃあ具体的に英語をどうするのか?というと情報がぜんぜんないんですよね。なんだかやたら非効率だったり、全然意味のない精神論が多いです。この本には僕が英語を勉強した時の方法が全部書いてあります。この本の情報だけで、読む・書く・聞く・話すは一通り出来るようになると思います。