グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

ドラフト特番

プロ野球のドラフト会議の開催にともなって、今年もドラフト特番が放送された。はっきりいって見るに堪えない番組だったが、選手の側からするとドラフト会議とはどのようなものなのかを理解する上ではなかなか興味深い内容だった。正直、番組をみてドラフトのイメージが随分変わった。

まず番組を見て思ったのは、僕はこれまでドラフトで指名される側の(あるいはプロ志望届を出して指名されない側の)ことは何も考えていなかったな、ということだ。つまり、僕はプロ野球選手になりたい選手がどれくらいプロになりたいのか、よく分かってなかったのである。この番組をみて、プロになりたい人というのは本当にプロになりたいんだなあ、という当たり前のことが初めて理解できた。

それはどちらかというと、プロ志望届を出した選手よりはむしろ家族の様子から伝わってきた。中継カメラの前でテレビを見守る母親などはもう、ハンカチを手にして待ち構えているのだ。そして、指名があってもなくてもそのハンカチで泣くのである。案外、そのハンカチは番組のスタッフから渡されたものかもしれないが、とにかくその勢いには圧倒される思いだった。

そのようになるのはもちろん子供の成功を願う親の気持ちがあるからだが、どうも家族が払ってきた犠牲が馬鹿でかいというのもあるようだ。番組に紹介された例でも、親が子供をトップレベルの野球選手にしようと熱中するあまり、家業を潰したり家庭が崩壊したりしている。野球をやるというのは金銭的にもたいへんで、貧困家庭だと少年野球の遠征費用を大変な思いをして捻出しているのだ。

この特番を見て改めて気づいたのは、野球ビジネスにおける貧困の影である。番組で中継された家族では選手の姉や妹も出てくるのだが、それがかなりの確率で茶髪である。しかもその茶髪は美容院で染めたものではなく、安物のブリーチ材で自分で染めた感じの茶髪である。髪の先の方だけ色がやたらと明るくなっているし、髪の先がバサバサして箒(ほうき)のようになっている。体系もなんだかみんなぽっちゃりしていて、食生活も世間では「不健康」といわれているようなものであることが推測される。服装もだらしがなくて、これでテレビにでるの?といいたくなるような服である。要するに、ネットなどで流れている「下層」出身の女性のイメージそのまんまなのである。

僕はハングリー精神なんて昔の話だと思っていたが、ドラフト特番を見て、世の中にはプロの世界で大活躍してどん底の生活から脱出したい、大金をもらって豊かになりたい、と思っている人は案外たくさんいるんだろうなあ、という印象をもった。なにせ、ドライチで指名されたら遠征費用を恵んでもらってまわるような貧困家庭にも一億ちかい大金が転がり込むのだ。目の色がかわらない方がおかしい。そして、そういう執念が少なからずプロ野球の世界を動かす原動力になっているのだ。ドラフトとかで「何位以下なら社会人」という選手がいるのも分かる気がする。ドラフトの順位で契約金が違うからだ。

野球の世界で成功してどん底生活から抜け出す、というのは、貧困層がギャンブルにはまるのと同じメンタリティーを感じないでもないが、プロに行かないまでも、野球の実績でインフラ系の優良企業に入ったり、有名大学に進学したりして貧困から抜け出す、というような成功例は無視できない数あるだろう。そして、そのような成功を意識しながら野球に取り組んでいる「球児」は沢山いるのである。

しかし、野球で成功するというのは並大抵のことではない。プロ野球選手と簡単に言うが、(育成を考えなければ)12球団が六位まで指名するとして72名ほどしかドラフトにかからないのである。高校、大学、社会人の野球部で野球をやっている人の数を考えると、とんでもない倍率である。

今回のドラフト特番では、取り上げられたのに育成ドラフトにもかからなかった選手がいて、古田敦也氏がこわばった顔で「今回は残念な結果になったようですけれども、実は僕も全く同じ境遇で・・みんなに集まってもらって雛壇を用意してもらったのに結局指名されなくて・・今は悔しいし、恥ずかしい気持ちでいっぱいだと思うんですけど、これは将来生きる上で必ずプラスになると思うんで・・これからも頑張ってください」とコメントしていた。「ドラフト二位以下ならトヨタ自動車」といっていたという噂の古田氏とでは話が全然違うような気がするが、かなり印象的だった。それから取り上げた選手がドラフトに掛からなかった場合を想定して古田氏をスタジオに呼んだのはなかなかやるな、と思った。(その後、その選手は東芝に進むことが決まったようだ。この時期に東芝というところに多難さを感じるのであるが)。

繰り返しになるが、このドラフト特番は正直、見ていてうんざりしてくる番組である。多くのエピソードが稚拙な再現映像で紹介されるのだが、ああいう再現映像というのは本当に見ていられない。この再現映像は全部インタビューにしてほしいが、しかし野球の世界を理解する上で重要なさまざまなテーマが取り上げられているので来年も我慢して見ようと思う。

電子出版した本

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。

世間は英語英語と煽りまくりですけれども、じゃあ具体的に英語をどうするのか?というと情報がぜんぜんないんですよね。なんだかやたら非効率だったり、全然意味のない精神論が多いです。この本には僕が英語を勉強した時の方法が全部書いてあります。この本の情報だけで、読む・書く・聞く・話すは一通り出来るようになると思います。