グローバル引きこもり的ブログ

「Common Lispと関数型プログラミングの基礎」というプログラミングの本を書いてます。他に「引きこもりが教える! 自由に生きるための英語学習法」という英語学習の本も書いています。メール → acc4297gアットマークgmail.com

イラク戦争と「ロシア疑惑」

最近フリンがFBIに偽証した罪で起訴されたということで、またリベラル派の大騒ぎが始まった。

しかし、リベラル派が騒げば騒ぐほど、「ロシア疑惑」はイラク戦争のようなものに思えてくるのは僕だけだろうか?

イラク戦争というのは今改めて考えてみても本当に訳の分からない戦争だった。9/11にマンハッタンで起きた同時多発テロの後の狂乱状態の中で、それは何のためにやるのかはっきりしないまま始まった戦争だった。

今から考えると信じられない事だが、イラク戦争が始まった当時、多くのリベラル派とアメリカのリベラルメディアは、サダム・フセインオサマ・ビン・ラディンと共に同時多発テロを引き起こした犯人で、しかもすでに大量破壊兵器を所持していると信じていたのだ。

ところが、常識的に考えると、アラブ世界での世俗的独裁者の典型であったサダム・フセインビン・ラディンとの間に接点などあるはずもないのである。

それどころか、弾圧によって宗教的狂信を押さえこむことで世俗主義による国家の近代化を目指す立場だったフセインは、対テロ対策では西側諸国と利害を共有していたのだ。

イラク戦争の開戦の口実に使われた大量破壊兵器の存在に関しても、直接的な情報は何一つなく、イラクが査察に非協力的であるという間接的な事実があるだけだった。そして、イラクが査察の目的が本当に査察だけなのかを疑う理由もそれなりにあったのである。

結局、「ファクト」に基づいて始められたはずの戦争は、イラクの国際テロリズムに対する関与も、大量破壊兵器も全く存在しなかったという単純な事実を明らかにするだけで終わった。

そして、イラク戦争中、さらにはイラク戦争後にイラクで何が起こったのかは、国際情勢に関心を持つ者ならば誰でも知っているところである。

ここで改めて「ロシア疑惑」について考えてみると、イラク戦争と「ロシア疑惑」は非常に似ていることがわかる。

イラク戦争の開戦時、リベラル派にとって、サダムは邪悪な絶対悪だった。

サダムは邪悪な絶対悪なのだから、サダムは正義を体現するアメリカ人を滅ぼそうとしているに違いない。イラク戦争の背景にはこのような神学的なロジックがあった。

中世ヨーロッパのスコラ哲学者が自らの議論を真理であると信じたように、リベラル派にとってサダムがアメリカにとっての脅威であることは仮説ではなくて絶対的真理に他ならなかった。そして、イラク戦争はこの絶対的真理を検証するプロセスに過ぎなかったのだ。

いまリベラル派が大騒ぎしている「ロシア疑惑」も構造は全く同じである。

今回、邪悪な絶対悪になっているのはいうまでもなくトランプとロシアである。

トランプとロシアは邪悪な絶対悪なのだから、2016年の大統領選挙でもアメリカを破壊するために、アメリカ人が想像もできないような狡猾さでなにか邪悪なことをやったに決まっているのだ。なぜならば、邪悪なことを行うのは悪の本性だからである。もしこれを立証する証拠が見当たらなくても、それはトランプとロシアがあまりにも狡猾であるからにすぎない。悪魔が人間を騙すように、トランプとロシアも善良なアメリカ人を騙すことができる。しかし、いかに狡猾であってもトランプとロシアはアメリカ人を永遠に騙すことは出来ない。なぜなら、悪はその本性として不完全であるからである。したがって、善良なアメリカ市民が追求を続ければ証拠は必ず見つかる。

「ファクト・ファースト」などといいながら、リベラル派が示す行動様式の背景にあるのはこのようなことで、そこには「ファクト」を尊重しようという姿勢などはどこにもない。現実とは何の関係もない中世的迷妄があるばかりである。これらのリベラル派はいかにも時代の最先端を生きているような顔をしているが、実際には21世紀どころか中世を生きているような連中なのだ。

常識的に考えると、大統領選挙でロシアができることはほとんどない。確かにロシアによるサイバー攻撃はあるにはあったが、投票結果を疑った活動家が接戦州での再集計を行ったところ、逆にトランプの票の方が数百票多かったという結果だった。しかも、ロシアのサイバー攻撃は、アメリカのエージェントがロシアの大統領選挙で長年行ってきた工作活動に対する報復という意味合いが強いのである。

トランプ側がロシアから情報の提供を受けていたのではないかとリベラル派はいうが、そうだとしてもだから何だというのか?もしヒラリーが何か想像もつかないような犯罪行為を行っていたとすると、アメリカ国民はそれについて知る権利がある。もし情報が正しいならば後からマスコミによる後追いがあるし、虚偽であれば忘れ去られるだけのことだ。

司法妨害」に関しては全く話にならない。大統領がFBI長官に圧力をかけるのは合法である。なぜなら、FBI長官は大統領により任命されるからで、したがって大統領はFBI長官を解任することもできる。もしFBI長官が完全に大統領から独立しているならば、FBI長官は大統領によって任命されない。そもそもコミーの解任については司法省全体での合意があり、トランプが独断で行ったことではない。こんなことはコミーが解任された当時から言われていることなのに、いまでも馬鹿の一つ覚えのように同じことを繰り返すリベラル派がいる。おそらく分かっていてやっているのだろう。

リベラル派はロシアの脅威を強調するが、では実際にどのような脅威があるか、となると、具体的な話は何もない。ロシアの干渉によって選挙の正当性が損なわれる、というような抽象的な話しかない。では、どのようにしてロシアが大統領選の結果を操作できるのか、というと具体的な議論は何もないし、サイバー攻撃を防ぐために電子投票を廃止するべき、と主張するリベラル派も見当たらない。

サダムの脅威が存在しなかったように、ロシアによってもたらされる具体的な脅威などは存在しない。ロシアによって具体的にアメリカ国民にどのような実害がもたらされるのか、僕はリベラル派から一度も聞いたことがない。脅威というならば、ロシアからの脅威よりもリベラルメディアとグローバル企業との共謀のほうが比べものにならないほどの脅威である。

とはいうものの、ロシアがアメリカのインフラなどにサイバー攻撃を仕掛けているのは確かで、しかもそのためにシステムが停止した例もあるのだが、このことについての報道は「ロシア疑惑」関連の報道の数十分の一だし、特にリベラル派が関心を持っていることでもない。

9/11の後、サダムの脅威などなにもないのにアメリカはイラクに侵攻した。今回の「ロシア疑惑」も同じ結末になるだろう。明らかに「ロシア疑惑」に関する捜査は行き詰まっており、世間の関心を調達するためにリベラル派が必死になって大騒ぎしているというのが現実だ。

日本では、アメリカは世界で最も合理的な国であるように考えられている。しかし、アメリカの実態をよく観察してみると、アメリカというのはかなりの部分が「ファクト」などとは何の関係もない神秘主義的な思考様式によって動いている国であることがよくわかる。今回の騒ぎによって、リベラル派の精神構造はイラク戦争の大惨事を経験した後でも何一つ変わっていないことが明らかになった。アメリカというのはありもしない脅威を信じ込んで戦争に突入し、想像を絶するコストを払ってもまだ同じことをやっている国であるということははっきりと認識される必要がある。

電子出版した本

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

Common Lispと関数型プログラミングの基礎

 

多分、世界で一番簡単なプログラミングの入門書です。プログラミングの入門書というのは文法が分かるだけで、プログラムをするというのはどういう事なのかさっぱりわからないものがほとんどですが、この本はHTMLファイルの生成、3Dアニメーション、楕円軌道の計算、 LISPコンパイラ(というよりLISPプログラムをPostScriptに変換するトランスレーター)、LZハフマン圧縮までやります。これを読めばゼロから初めて、実際に意味のあるプログラムをどうやって作っていけばいいかまで分かると思います。外部ライブラリーは使っていません。

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