元院長
例の事故から4ヶ月ほどだろうか。元院長が起訴されるという。元院長というと僕がおもいだすのは、なんといってもあのマスクとサングラスだ。事故を起こしたあと、元院長は裁判所かなんかで手続きをするために、変なショルダーバッグを肩にかけ、両手でチョコチョコと杖をつきながら現れた。事故が起きてから元院長が報道関係者の前に姿を現すのはそれが初めてのことだった。両手で杖をついているだけでも滑稽なのに、マスクとサングラスをしていたものだから元院長の姿はなおさら滑稽だった。なんで堂々と顔を見せないのか?マスクとサングラスで顔を隠した方が楽であることは確かだろうが、こういうときこそ顔を隠さず、しっかりと前を見据え、胸を張って歩くべきなのではないか?一体、元院長にエリートとしてのプライドというものはないのか?結局、元院長は保身とプライドを天秤にかけて保身の方を選択するような人物だった。なんだか、霞が関官僚のもっともダメな部分を見せつけられた気分だ。