フランス大統領選挙とアンシャンレジームの行方
少し前の話になるが、フランスの大統領選挙は結局マクロンの勝利に終わった。
世間で言われていた通りの結果であったと言える。
僕は正直、今回の大統領選挙にはあまり興味がなかった。
どうもマクロンが勝つという退屈な結果に終わりそうな感じがしたからだ。
第一次投票の結果もマクロン有利を示唆するものだったし、選挙に関する報道からも国民戦線はいまいち時流に乗れてないという印象を受けた。
あるいは、時流というのは確かにあるにはあったのだが、それは決戦投票で勝てるほど強いものではなかった、というべきだろうか。
そのためもあって、国民戦線の選挙運動も典型的なプロテストパーティーのものにとどまり、効果的なメッセージを打ち出す事ができなかった。
こういうのは背景にはっきりした時流がないと、メッセージがまとまりきらないのである。
だから僕は今回の選挙戦は退屈な結果になるだろうと思ったし、実際に結果はマクロンの当選という退屈なものだった。
しかし、実際にマクロンが大統領になってみると、じつはそっちの方がはるかに面白いのではないか、という気もする。
もしかして今回の選挙は、選挙自体はつまらないけども選挙後が面白くなる選挙なのかもしれない。
アメリカの状況を見てもわかるように、今の時点でルペンが大統領になったとしても、どうせあっという間にレームダックになる。
それならば、マクロンみたいなポリコレ政治家に大統領をやらせて、どうなるかを見たほうが面白い。
今回、マクロンは世間で正しいとされる事しか言わずに大統領になった。
もちろんマクロンが選挙期間中言った事と実際に考えていることには違いがあるだろうが、少なくとも主流派のジャーナリストが非難するような事は何一つ言っていない。
しかし、これまでの政治家がやってきた事は、結局のところ全て社会的に正しいとされることばかりだったわけで、普通に考えれば、これまでと同じ事をマクロンがやったところで結果は同じようなものになるだろうと予想される。
ネオリベに基づくアンシャンレジームは今後どうなるのだろうか?
マクロンが5年後に勝つのは相当難しいだろう。
今回マクロンは66%得票した。
ルペンの34%と比べたら大差をつけて勝ったように思えるが、見方を変えれば有権者のうちの6人に一人が意見を変えただけでこの結果はひっくり返るのである。
66%のうちの16%と考えてもこれは四人に一人で、いまの政治の情勢を考えるとこのマージンは確実なものとはとても言えない。
今回の選挙の第一次投票では、半数の有権者がEUに反対をしている候補者に票を投じているわけだが、今後EUに懐疑的な有権者が減少に転じるとは考えにくい。
今回マクロンが勝ったのは完全に消極的支持の結果であり、この事は次に行われる総選挙で明らかになるだろう。
マクロンの政党が現職議員に大きく勝つとは思えない。
マクロンが大統領になってなにをやり始めるかはわからない。
大統領としての権限を使ってネオリベ政策をごり押しするかもしれないし、明確な政策を実行できないままずるずるとレームダックになるかもしれない。
難しいのは、仮にマクロンの政策が意図した通りの結果になっても、それは多くの人たちの反感を呼ぶ形での成功となるということで、政策の成功が政権の支持につながらないのである。
だから問題は、5年後にマクロンが負けるかどうかというよりは、マクロンが負けた後どうなるか、という事だと思う。
もし国民戦線が次の選挙で勝った場合、有権者はネオリベとは全く別の原理に基づく社会に同意するだろうか?
社会というものは政治が動かすのではない。
社会を動かすのは社会である。
マクロンが大統領に当選したことは、フランスの社会において今後どのような価値観が支配的になっていくかを観察する絶好の機会をもたらすものであると思う。
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